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“再生”の事業理念を込めた商号に変更。
グループシナジーをこれまで以上に発揮し、社会に貢献していきます。
当期の我が国経済は、概ね堅調に推移したものの、物価上昇や人手不足等により、特に中小企業などは厳しい経営環境が続きました。政府は物価高への対応、構造的な賃上げ推進に取り組んでいますが、地政学リスクの高まりや世界的な政治情勢の不安感が拭えないこともあり、先行きの不透明感が色濃い1年間でした。
また、当社グループの主要な事業フィールドである不動産の市況は、都市部を中心に価格が上昇傾向にあり、一部には過熱感も懸念される状況です。また、地域や物件による価格差が顕著になってきています。
そうした中、当社グループは、「顧客第一主義」の経営理念に則り、「不動産・債権に関するワンストップサービスの提供」というビジネスモデルのもと、グループ総合力及び協業ネットワークの強みを活かして、業務に取り組んでまいりました。
サービサー事業は、見込んでいた担保物件の売却が一部ずれ込んだため、売上高は前期を若干下回ることとなりましたが、前年度に増加した担保物件の自己競落に関する費用が減少したこと等により、前期比で大幅な増益となりました。
派遣事業は、概ね前期並みで推移しましたが、主要派遣先における案件の期ずれが発生した影響で計画には未達となりました。
不動産ソリューション事業は、予定していた大型案件の売却が個別の事情により遅れたことが影響し、前期比で減収減益となりました。
これらの結果、当期における当社グループの連結業績は、売上高2,280百万円(前期比0.4%減)、営業利益74百万円(前期比105.6%増)、経常利益96百万円(前期比9.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益71百万円(前期比43.4%増)となりました。
当社は2025年3月、株式会社山田債権回収管理総合事務所から、株式会社山田再生系債権回収総合事務所(通称:山田再生系サービサー総合事務所)へと商号を変更しました。
当社はサービサー事業に参入して以来、一貫して「再生」に取り組んできました。この度の商号変更は、事業再生を支えるサービサーとしての使命をさらに強化し、社会的ニーズに応えていくにあたって、再生という事業理念を反映させたいとの思いから行ったものです。
ポストコロナを迎え、近年は国も再生系サービサーの活用を推進しています。2022年3月に発表された「中小企業活性化パッケージ」を皮切りに、企業再生とそのためのサービサーの活用に向けて、数多くのメッセージを発出しています。当期においても、「中小企業活性化協議会を通じた再チャレンジ事例集」(4月)、「金融の円滑化に向けた取組及び事業者支援の徹底について」(11月)、「地域金融力強化プラン」(12月)などが出されています。
また、全国サービサー協会も国の動きに合わせて、様々な取り組みを継続展開しています。当期は4月に「サービサー情報交換会」を名古屋で開催し、好評を博しました。今後も各地で開催していく予定です。
このように、国や業界を挙げて企業再生が注目されていることは、当社にとっても追い風になります。また、再生の切り口では、事業承継に関連したM&Aが注目されています。事業が継続するのはその地域にとってもプラスなので、自治体も企業再生については注目しています。
人手不足の根本的な原因のひとつには、企業の新陳代謝の停滞もあると考えています。企業や経営者の再チャレンジの局面においてはサービサーの機能が活用できます。近年の人手不足を背景とした人材流動性の高まりは、企業の新陳代謝を後押しする効果もあると考えています。
一方で、当社としても優秀な人材の確保は重要な課題です。特に派遣事業は、山田グループ各社の旺盛な派遣需要に応えていかなければなりません。登記関連では金利や不動産価格が上昇基調にあり、新設住宅着工戸数も大きく減っているため、業界全体では新規の採用を抑えるところが増えています。その影響もあってか、当社では逆に、採用の問い合わせが増えています。
この先も山田グループが得意とする大型の登記案件がいくつも控えており、現在の状況はむしろ、人材確保の面では有利に働いているように感じています。
機微情報の取り扱い等、実用化するには課題も多いですが、サービサー業務とAIの相性は基本的には良いと考えています。債権買取の場面では膨大な資料や担保を精査してプライシングをしますが、情報の整理やクレンジングだけでなく、過去に取り組んだ案件をもとに回収可能性を予測するなど、債権のスコアリングにも活用できそうです。また、回収の場面でも、従来担当者の経験や能力に大きく依存していた属人部分を汎用的にすることも将来的には可能かもしれません。そして特に注目しているのは、不備過誤といったエラーの検知です。弁護士法の特例として認められているサービサー業務は、厳格な法令順守のもとに行われています。当社でも取締役に2名の弁護士を置き、コンプライアンスを非常に重視して業務にあたっています。AIの活用が進むことで、管理の高度化に繋がると期待しています。
サービサー事業については、当期の前半までは債権の買取を積極的に行い、後半は回収推進へと軸足を移しました。それがある程度順調に進んだことで最終的には前期並みの売上高となりました。来期に期ずれになった案件もより良い出口を模索した結果によるものです。
また、金利の上昇は、不良債権処理を加速させると見込んでいます。金融機関は金利収入の増加などにより体力をつけ、暫定リスケ対応先などの最終処理が進む可能性が高まります。
ここ数年、有望な再生案件を手掛けることができていません。近年は通常の回収案件が中心になっていましたが、当社が得意とする再生案件をベースにして、通常の債権回収はその次というスタンスで事業を進めていきたいと考えています。
コロナ関係で企業倒産は増えており、M&Aなどのチャネルも活用して有望な再生案件に取り組み、社会に貢献していきたいと考えています。
派遣事業については、当期は派遣先の登記業務が大型案件を中心に好調で、順調に推移しました。来期は山田エスクロー信託に期待しています。相続業務では大手金融機関との取り組みがスタートする予定です。
また、昨今は悪質な買い手によるM&Aの問題がクローズアップされ、M&A仲介業界を挙げて健全化に取り組んでいます。金銭信託を活用したM&A決済代金の保全信託がブレイクする兆しが見えています。
さらに、ハウスメーカーの中には信託業務を行っているところがありますが、そうしたところから人材・ノウハウ不足を理由に、信託の要請をいただいています。これまで信託業務は、金融機関から受けることが大半でした。最近は金融機関以外からもお話をいただくことが増えてきており、山田グループの存在感が着実に増していると感じています。
まず、不良債権処理、事業再生、事業承継、廃業支援などを通じて、持続可能な社会の実現に寄与していると考えています。また、これらの事業も含めて、当社グループが展開する事業の多くが、不動産などの資産を次世代に繋ぐものとなっており、事業活動そのものがSDGsに資すると考えています。
また、2027年3月から9月にかけて、横浜市にて「国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)」が開催されます。当社はこの博覧会の趣旨に賛同し、寄付を行いました。今、地球の至る所で気候変動や異常気象、生物多様性の喪失といった問題が生じています。博覧会は、人と自然が調和し、より良い共生関係をつくるためにはどうすればいいのか、そのヒントを発信するための絶好の機会だと思っています。当社グループは地元横浜の企業として、博覧会の成功に向けたお手伝いを継続的に行っていきます。
さらに、私個人から始まり山田グループの取り組みにもなっているお米づくり支援は、かれこれ10年近くに及びます。農薬を使わないお米、有機JAS米などの安心安全で美味しいお米づくりの大切さを広く知っていただくとともに、生産者が安心してお米づくりをできる環境整備に、ささやかながらも貢献していると思っています。
当社は1999年にサービサーの営業許可を取得し、以来、お客様や市場のニーズに応じて業務領域を広げ、組織もグループへと拡大・発展させてまいりました。ビジネスモデルである「不動産・債権に関するワンストップサービスの提供」は、グループの結束あってこそ実現できるものです。
これまでも各社が持つ力を発揮し、グループとしての強みを高めてまいりましたが、今期はこのグループのシナジーがこれまで以上に発揮され、事業の推進に貢献し始めると思っています。
例えば、M&Aに関連した信託業務のブレイクの兆し、相続業務における大手金融機関との本格協業、法人登記に関連した業務量の増大、再生系サービサーへの注目など、グループの各領域で開花の予兆を感じることができます。
株主の皆様におかれましては、当社グループの経営方針並びに取り組みにご理解をいただき、引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
2026年1月15日 本社にて